人をわるく思わないひと
だった、というご挨拶の
言葉が一番印象的だった。
フラメンコが好きな人達を応援し
奉仕することに人生をかけた人。
世界唯一のフラメンコ月刊誌、パセオの編集長をかつて勤められ
最近ではコロナ時代の新しいコミュニティ「アクースティカ倶楽部」の創設と発展に尽力されていた。
西脇美絵子さん。
キリコさん、と多くの人は呼んでいた。
「人をわるく思わない」
それってなんて凄い才能だ、
と思う。
だから彼女の元では
どんどんと人が繋がっていく。
新しいアイディアが体現していく。
「フラメンコが好きだ」
それを旗印に
ほとばしる情熱のまま
普通の人なら当然働くはずの
「これ以上仕事をしたら命に関わる」
というリミッターが作動せぬまま
突っ走り駆け抜けて逝ってしまった、
というような言葉もあった。
喪主、夫である加部氏の言葉である。
短い期間だったけれど
わたし自身にもそんな風に猛烈に働いていた時期がある。
その仕事が好きだったから、
もウソではないが
わたしの場合は
その時代、仕事に逃げていた。
じぶんの悲しみ、絶望感を紛らわせ
人を信じられない不信感を忘れたかった。
じぶんが本当に感じていることを
感じないために猛烈に働いた。
かくして
ワーカホリック生活の末に倒れ
勤務先(フラメンコとはまるで関係がない、とてもお世話になった会社)を長期欠勤。
しかしその欠勤中に
フラメンコのためにスペインに
行けたことが
今フラメンコを唄うことの礎になっている。
キリコさんがその同じ会社の
数年先輩の社員だった!
と解ったのは最近キリコさんと話して、だった。
フリーのライターとして関わりがあったことは昔から聞いていた。
それをパセオの編集長になられるのでやめられた、とわたしは勤務先で聞いていた。
「パセオ」というフラメンコ雑誌の存在を知ったのもその時で、とても嬉しかった。
その39年の歴史がある「パセオ」も休刊、
事実上廃刊であろう、という報をしばらく前に聞いたばかりだ。
これまでのキリコさんの
働きぶりにはまるで叶わないが
激務だったその同じ会社に居たわたしも
同じ性癖が少しあったと思う。
今、ものすごく彼女の優しさと信頼の質を感じます。
「人のことをわるく思わない」
わたしはあなたのその才能に救われました。
わたしは25年前とは
だいぶ変わったと思うけれど
当時からの
「誰も信じられない絶望感」
のようなもの
わたしの中に今もあることを
最近確認したばかり。
以前と違って
今度は逃げずに
そこにあるものを見ています。
とても辛いね。
そんなわたしにとってフラメンコ
との出会いは救いでした。
加部氏もとても
優しい人なんだなぁ、
と改めて感じました。
加部さんは
日本で唯一のフラメンコソフト専門店、アクースティカを経営される
フラメンコギタリスト。
いつもニュートラルで
冷静で
わたし達にしっかりとした信頼のおける
フラメンコの情報や知識を
伝え続けてくれている加部さん。
そしてほとばしる情熱のキリコさんは
ほんとうに素敵なカップルです。
ありがとうございました。