サンタマリアマジョーレに通じる道で
目の前のランナーの群れに
なぜ飛び込んだのか?
☆☆☆☆☆☆
人、人、人の群れ(ランナー)。
それは戦いから逃れて来た人々のように
その時の私の目には見えたのだった。
「今だ!」という何かからの声を聞いた気がして
咄嗟に飛び込んだ。
今この行動をするかしないか、は
まるで 私の生死の分け目のような気がした。
私の右肩をグゥウ。
とつかむ警備員。
当然制止するだろう。
わたしは腰を落として身を低くすることで
その右肩を掴んだ手から逃れた。
こんなワザどこで覚えたんだろ?
という感じ。
とにかく私は今
道の向こうに渡るのだ!!
(警察行くんだからさ)
こんなに強い意志に従って
走ってはいるのに
なかなか進みゃあしない。
この爆発的に増えた大人数を横切るには
私だって前に進みながら
斜めに横断していくしかないのだ。
昨日までは数秒で横断していたその道を、
数分走った。
ランナー達とともに。
ただ無我夢中、の瞬間もありながらも
この数分間にアタマをよぎったよしなしゴトは~
わたしローマまで来て何をやっているんだろう。
普段も走ることなんか滅多にないのに!
前回走ったのは電車に乗るときだったかなあ。
とかなんとか。
なんかこの人たちは(一緒に逃げた)同志っぽいわ。
警備員には肩を掴まれたのに、
この大人数のちがう方向に行くひと達と
殆どぶつからないってどういうことかしら?
で、無我夢中とこれらのアタマの中のブツブツ言葉が
交錯しつつ。
無事 向こう岸、にたどり着いたのである。
たどり着いたわたしを見て
「おーっ。関心関心!(あるいは呆れる)」
みたいな表情で目を丸くしている人たち。(たぶん観光客)。
警察へご用がなくとも
この岸辺にいた人たちも できれば早く道を渡りたい、
のである。
彼らもこのマラソンで10分以上ふいに
待たされることになったようだから。
しかしこんな荒ワザで横断した人は
他に誰もいないようだった。
出よう、と試みてた人は何人かいたけれど
みな警備員に止められ、横断出来なかった。
その人々のかなりの注目の眼差しに
どういう顔をしてよいかわからぬまま
その日3軒目の警察に向かった。
マラソン中、前進を余儀なくされてたので
元来た道をかなり戻ってた。
もうここは素直に
マラソン沿道でなく
警察の通りへ行こう。
で、なんだあ。
たった1本平行した道だった
Via Farini.
この通りに来たら
なんと30秒ほど前マラソンしていたのが
ウソのよう。
別世界なのだ。
なんだか日常に戻ったのだ。
(ローマに居るだけで非日常、盗難にあってさらに非日常だけれども)
で、馴染みの警察の入口にやってきた。
ふふふ。ここはもう知ってるもんねえ。
という安心感とともに。
時間は12時半を回っていたと思う。
きっとあのマラソンのスタートは
12時だったのだろう。
「昼休みの時間にかかると、ロクなことがない」
という思いはそれまでのイタリア、
というよりFlamencoのためにスペインを
何度も旅した経験から
骨の髄まで身にしみていた。
今回の旅も、イタリアに来る前に
しばらくぶりにスペインに行ってきた。
セビージャ⇒ローマという初めての路線の
フライトを経験、
実に面白かったが
それなんて結果的に小さなことで
いやここローマで
今ドロボーなんかに合わなくても、
その前のスターサファイアエナジーワークの
半月間のがっつり経験したコースを受けなくても、
イタリアに向かう前にスペインで
もう日本に帰ってもいいや、
と思うほど充分な
楽しい、感動する、ドキドキする
実りある
旅をしてきたのである。
お腹いっぱい状態な上にさらにさらに
また様々な経験をした旅だったのである。
で、たぶんイタリアは
スペインより1時間くらい昼休みが早いみたい、
となんとなく掴んでた。
スペインだと午後2時頃からで、
その後5時頃までは お店とか完全に閉まる。
スーパー、とかはやってるけど。
イタリアの警察だって
3時間くらい休むかもしれない。
公式に休み時間でなくとも、
昼飯食べるべき時間に働いてくれ、というタイミングには
人々は皆あまりに不機嫌なのだ。
そしてそんな時はムリヤリ何かを頼んでも
マチガイも多いし、いつも以上にノロい。
航空会社のカウンターであれ、
タクシー運転手であれ、
警察であれ、だ。
本来ニンゲン、それでいいんじゃないか、
とそういうのに賛同してたわたしは
自分自身もそういう行動形式にもなってたわけだ(スペインではね)。
なんせきょうは日曜だし、こういう傾向はマックスだろう、
という思いからの焦りもあったわけだ。
で、まあ昼前に訪問出来てラッキー。
でないと他の用が済まなかったかもしれない。
で、警察の入口を入ると
両側に見覚えのある部屋。
そうだそうだ。この右手の部屋で前年
待たされたのだ。
あのときは「お金盗られました~」
とかなんて言うのかなあ、
なんて考えながら話かけようとしたら
「すとーるん?」「スィ」
の一言で済んで拍子抜けしたのがスタートだった。
で、この右の待合室には盗られた人が
何組も待っていた。
日本人かな~と思って話しかけた男性親子は
上海から来た中国人だった。
何を盗られたんデスカ?
と聞いたら
「ホテルについてすぐお金をおろしてきた」
「で、それをベッドの上に置いて少し部屋を離れたら30秒で盗られた!」
とのこと。
「ネットで確かな予約サイトで探した、
ちゃんとしたホテルだと思ったんだよおお!」
とわたしに訴えた。
中国人のオジサンの手にはPCからプリントした
ホテルを予約した紙。
見せてもらうとわたしも予約した覚えのある
ホテル予約サイト名だった。
で、いくら盗られたんデスカ?
と聞いたら
「1万5千ユーロ、、、」
だってさ。
あははーっ。ざっと200万弱ぅ?
私たちの100倍以上なのね。
(前年の被害金額はそんなものだった)
もうわたしは何がホントか、
とかぜんぜんわからなくなっていた。
さあて、今回は
この警察でどんなことがあるのだろう。
(その11 に続く)
その11
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「イタリアで見た過去生と直後の事件」
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